所有者不明の不動産?

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所有者が不明な場合の手続きあれこれ

先日、通行掘削承諾を取得するのに所有者が亡くなっており相続人が不明で少し苦労したので「土地や建物の登記上の所有者が、すでに亡くなっていて相続人が不明な場合」の対処法を備忘録として残します。

「え、それってよくあることなの?」と思うかもしれません。でも、古くからの土地や相続が絡む物件では、こうした状況は珍しくありません。登記情報に出てくる「所有者さん」がもうこの世にいないとわかった瞬間、土地にはすでに相続が発生している状態です。しかし、相続人がどこにいるのか、そもそもいるのかどうかが分からないことも稀にあります。

そんな「所有者が亡くなっていて相続人がわからないケース」では、どんなステップを踏めば不動産を無事売却、購入できるのでしょうか?


1. 相続人を特定することが出発点!

まずは、亡くなった所有者に代わって土地の所有権を引き継いでいるであろう「相続人」を特定することが必要です。

  • なぜ相続人調査が必要?
    登記上の所有者が死亡しているなら、すでに相続が発生しています。つまり、本来は相続人がその土地を引き継いでいるはず。誰が相続人なのか判明すれば、その人と交渉し、売買を進めることができます。
  • 戸籍の調査
    相続人を特定するには、亡くなった登記名義人の戸籍をさかのぼって調べる必要があります。ただし、単なる購入希望者や不動産業者が直接戸籍を取り寄せるのは原則むずかしいため、司法書士などの専門家に依頼することが多いです。

2. 一部の相続人が行方不明…そんな時は?

相続人がいることは判明しても、共有持ち分が有りそのうちの一人が行方不明、あるいは連絡がつかない状況もあると思います。この場合、「不在者財産管理人」という制度が役立ちます。

  • 不在者財産管理人ってなに?
    行方不明の相続人の代わりに、裁判所から選任された管理人が財産を管理し、必要な手続きを進めてくれます。遺産分割協議もその管理人を通じて行うことが可能です。
  • 利害関係者ができること
    利害関係人として、不在者財産管理人を選任するよう申立てたり、所在が判明している他の相続人にその手続きを促したりできます。これによって、行方不明者がいても処分手続きを前進させることが可能になります。業者や購入希望者は利害関係者とはならないと思いますのでご注意ください。(個人的見解です)

3. 相続人がそもそもいない(かもしれない)場合は?

戸籍を調べても相続人が誰もいない、または相続人の有無自体が不明瞭なケースでは、「相続財産清算人」という制度が登場します。

  • 相続財産清算人とは?
    相続財産清算人は、相続人が存在しない(いるかわからない)遺産を整理・清算するために選任される存在です。清算人は、その不動産を売却する権限を持ち、不動産業者や買主さんは清算人と交渉して不動産を購入できる可能性が出てきます。
  • どんなメリットがある?
    誰も相続しないまま放置されている土地に対して「管理・清算」する人が明確になるため、話が前に進みます。購入希望者としては、一歩近づくための大きな手助けです。

4. 専門家に相談するメリット

「なんだか難しそう…」と思った方も多いはず。相続や不在者管理、清算人などの制度は一般の方にはなじみが薄いもの。こういう場合こそ、専門家を頼りにしましょう!

  • 不動産業者 このような案件に慣れている不動産業者からは良いアドバイスがもらえるかもしれません。 
  • 司法書士 不動産登記や相続手続きのプロ。必要書類の確認や相続人特定のアドバイスが得られます。
  • 弁護士 法的な申立て(不在者財産管理人・相続財産清算人選任)や遺産分割協議の対応など、トータルでサポート可能です。

専門家に依頼することでスムーズな手続き進行が期待でき、余計な手間や時間を減らせるでしょう。


5. 手続きの大まかな流れ

ざっくり言えば、以下のような流れです。

STEP
調査開始

登記名義人が亡くなっていて所有者が不明とわかったら、専門家と相談して相続人調査に必要な戸籍情報などを確認します。

STEP
相続人有無の確定
  • 相続人がいる場合 → 行方不明者がいれば、不在者財産管理人選任へ
  • 相続人がいない場合 → 相続財産清算人選任へ
STEP
申立てと選任手続き

裁判所に申立てを行い、不在者財産管理人や相続財産清算人を選任します。

STEP
協議・交渉

選任された管理人や清算人と交渉し、不動産売却へと進めることが可能になります。


6. 早めの行動がポイント!

こうした手続きは、時間がめちゃくちゃかかります。正直割に合わない案件も多いです。調査、書類収集、裁判所への申立て、選任、協議…といった手順を踏むため、半年から1年単位で進める覚悟が必要です。

「売りたい、処分したい」もしくは買いたい、と思った土地がこうした状況なら、なるべく早く動き始めるのがおすすめです。


まとめ

  • 亡くなった所有者の土地を売買したい→相続人調査→不在者管理人や清算人選任というステップがカギです。
  • 専門家に依頼→司法書士や弁護士などに相談することでスムーズな手続きをサポートしてもらえます。
  • 時間と費用は未来への投資→こうした手続きには手間も費用もかかるが専門家に依頼することで、結果的に安心安全な不動産売却や取得につながります。

テックハウスでは難しい案件も可能な限り親身になって取り組みます。お困りごとがございましたらまずはご相談くださいませ。

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