「昔、雨漏りしたことがある」「床下にシロアリの跡があった気がする」。古い家を売ろうとすると、こうした不具合をどこまで買主に話せばいいのか、話したら売れなくなるのではないかと心配される方が少なくありません。
実は、知っていることを正直に伝えておくほうが、結果的に売主さん自身を守ることになります。この記事では、売ったあとの責任「契約不適合責任」の仕組みと、伝え方のコツ、売り方による責任の違いを、買取と仲介の両方をしている立場からお話しします。

- 契約不適合責任とは何か、売ったあとに何を求められるのか
- 不具合は「伝えておけば」責任の対象から外れる理由
- 告知書に書いておきたいことと、売り方による責任の違い
契約不適合責任とは
契約不適合責任は、売った家が「契約で約束した内容」と違っていたときに、売主が買主に対して負う責任です。2020年4月の民法改正で、それまでの「瑕疵(かし)担保責任」から名前と考え方が変わりました(2026年10月時点)。
ポイントは「契約の内容と違うかどうか」で判断されることです。同じ雨漏りでも、契約書や告知書に「雨漏りあり」と書いてあって買主が納得して買ったのなら、契約の内容どおりなので責任は問われません。反対に、何も書かれていなければ「雨漏りのない家」として売ったと受け取られやすくなります。
売ったあとに買主から求められること

引渡しのあとに契約の内容と違う不具合が見つかると、買主は売主に対して、修理を求めたり、代金を下げるよう求めたりできます。損害が出ていれば賠償を、住むという目的が果たせないほどなら契約の解除を求められることもあります。
売主さんにとって負担が大きいのは、すでに売却代金を住み替えやローンの返済に使ったあとで、修理代や減額を求められるケースです。民法の原則では、買主が不具合を知ってから1年以内に知らせれば請求できるため、引渡しから何年もたってから話が来る可能性もあります。
知っている不具合は、伝えれば責任の対象から外れる
売却のときには「物件状況報告書(告知書)」と「付帯設備表」という書類に、建物の状態や設備の有無を売主さんが書き込みます。ここに知っている不具合を書いておくことが、一番の備えになります。
「書いたら値段が下がるのでは」と心配されるかもしれません。ただ、買主は内覧や建物の調査で不具合に気づくことも多く、あとから分かるほうが話はこじれます。また、個人どうしの売買では責任を負わない特約(免責)を付けることがよくありますが、売主が知っていて伝えなかった不具合は、免責の特約があっても責任を免れません。隠すことに得はない、と考えてください。
告知書に書くときは、次のような点を思い出しておくと漏れが減ります。
- 雨漏り:過去にあったか、いつ・どこで、修理したか(修理の見積書や領収書があれば一緒に)
- シロアリ:被害や駆除の記録、防蟻処理をした時期
- 給排水管:水漏れ、詰まり、水圧の弱さ、交換の有無
- 建物の傾き:床の傾き、建具の閉まりにくさ、外壁や基礎のひび
- 設備:給湯器・エアコン・換気扇などの故障や不調
- 周辺のこと:境界のもめごと、騒音や臭いなど近隣との話し合い
売り方によって、売主の責任は変わる
どこまで責任を負うかは、誰に売るか、契約書にどう定めるかで変わります。

仲介で個人の方に売る場合、築年数の古い家では「引渡しから3か月」のように期間を区切ったり、建物について責任を負わない形にしたりすることが多くあります。ただし、免責の家は買主から見ると不安が残るため、価格の交渉材料になりやすい点は知っておいてください。
不動産会社が買い取る場合は、売主さんの責任を免除して契約することが多いです。会社は自分で建物を調べ、直す費用も見込んだうえで価格を出しますし、再販するときは宅地建物取引業法により、会社が買主に対して引渡しから2年以上の責任を負います。その分は買取価格に反映されるので、手取りは仲介より低くなりやすい、というのが正直なところです。
買取と仲介、それぞれに向いている方については、こちらの記事でも説明しています。
どちらで売るかの考え方
不具合が軽く、修理の記録もそろっていて、売り出しに時間をかけられるなら、告知書をきちんと書いたうえで仲介で売るほうが、手元に残るお金は多くなりやすいです。一方で、雨漏りやシロアリの被害がはっきりしている、建物の状態がよく分からない、売ったあとのことで悩みたくない、という方には買取が合っています。
当社では、気になっている不具合を最初に伺ったうえで、仲介で売り出す場合と買取の場合の両方をご説明しています。どちらがよいか迷っている段階でも、お気軽にご相談ください。なお、個別の契約条項の判断が必要なときは、弁護士などの専門家にもご確認ください。


