共有名義の不動産を売るときに気をつけること。全員の同意と、話がまとまらないときの選択肢

「親から相続した実家が、きょうだいの共有名義になっている」「夫婦で持分を分けて買った家を売りたい」。共有名義の不動産は、持ち主のひとりの判断だけでは売れません。話がそろわないまま何年も過ぎている、という方もいると思います。

この記事では、共有名義の家や土地を売るときの確認点と、話がまとまらないときの選択肢をお話しします。当社は買取と仲介の両方を行っていますので、それぞれが向く場面も正直に書きます。

古い住宅の前で話し合う成人のきょうだい
写真はイメージです
この記事でわかること
  • 「全体を売る」と「自分の持分だけ売る」の違い
  • 売り出す前に共有者で決めておきたいこと
  • 反対の人や連絡が取れない人がいるときの選択肢
目次

全体を売るには、共有者全員の同意が必要です

共有名義とは、1つの不動産を複数の人で持ち、それぞれの権利の割合(持分)を登記している状態です。持分は「2分の1」のような割合で、「1階は兄、2階は弟」と場所が分かれているわけではありません。

そのため、不動産全体を売るには共有者全員の同意が必要です。持分が一番大きい人でも、ほかの人の同意なしに全体を売ることはできません。一方、自分の持分だけなら単独で売れますが、買主はほかの共有者と一緒に持つことになるため、買い手は限られます。

不動産全体を売る場合と自分の持分だけ売る場合の比較。全体を売るには共有者全員の同意が必要で、1つの不動産として評価され、全員が売主として手続きに関わる。持分だけなら自分の判断で売れるが、買う人が限られ、持分の割合で計算した額より低くなりやすく、買主と他の共有者との共有関係が残る

売り出す前に確認しておきたいこと

まず、登記事項証明書(登記の内容を記した書類)で、今の名義と持分を確かめます。亡くなった親の名義のままなら、相続登記をしてからでないと売れません。

相続登記は2024年4月1日から義務になりました。相続で取得したことを知った日から3年以内に申請が必要で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。2024年4月より前の相続で未登記のものは、2027年3月31日が期限です(2026年11月時点)。

夫婦の共有で住宅ローンが残っている場合は、残高も確認します。売るときは原則として完済し、抵当権(金融機関の担保の権利)を消す必要があります。相続した家の手続きの順番は、こちらの記事で説明しています。

共有者で決めておきたいこと

つまずきやすいのは、途中で意見が割れることです。査定の前後に、次の点を話し合っておくと進めやすくなります。

  • 売るのか、共有者の誰かが買い取るのか
  • いくらまでなら売ってよいか(最低価格)
  • いつまでに売りたいか
  • 不動産会社とのやり取りの窓口を誰にするか
  • 測量、解体、片付け、仲介手数料などの費用を誰が負担するか
  • 手元に残ったお金をどう分けるか

窓口をひとりに決めても、査定の結果は全員で見ておくと安心です。代金は持分どおりに分けるのが基本で、違う割合にすると贈与税の問題が生じる場合があります。分け方を変えたいときは、先に税理士に確認してください。

共有名義の家を売るまでの6つの流れ。名義と持分の確認、全員の意思確認、査定結果の共有、条件の合意、全員が署名する売買契約、決済と代金の分配

契約と決済は、共有者全員が売主として関わります。遠方の方は委任状で代理を立てる方法もありますが、本人の意思確認は行われます。印鑑証明書なども人数分必要です。

話がまとまらないときの選択肢

話がまとまらないときの選択肢。反対の人がいるときは理由を聞いて条件を見直す、共有者の間で持分を買い取る、裁判所に分割を請求する。連絡が取れない人がいるときは住所を調べる、裁判所の決定で持分を取得する、または持分を譲渡する権限を得て全体を売る。判断が難しい人がいるときは本人の意思を確認できるかを確かめ、難しければ成年後見の手続きを検討する

反対の人がいるときは、理由を聞くところから始めます。価格への不満か、時期の問題か、家への思い入れかで、話の進め方は変わります。誰かが住み続けたい場合は、その人がほかの持分を買い取る方法もあります。協議ができなければ裁判所に分割を請求する制度もありますが、競売になることもあるので、弁護士とよく相談してください。

連絡が取れない人がいるときは、2023年4月に始まった制度が使える場合があります。裁判所の決定を受けて、その人の持分を取得したり、持分を譲渡する権限を得て全体を売ったりできるものです。ただし、遺産分割がまだの相続の持分では、相続の開始から10年が過ぎている必要があります。

認知症などで判断が難しい人がいるときは、本人に意思能力がなければ売買契約を結べません。ご家族が代わりに署名することはできないので、家庭裁判所での成年後見の手続きなどを、司法書士や弁護士に相談してください。

税金は共有者ごとに考えます

売却の利益(譲渡所得)は持分に応じて共有者ごとに計算し、確定申告も一人ずつ行います。自宅として住んでいた家を売るときの3,000万円特別控除も、使えるかどうかを共有者ごとに判定し、要件を満たす人はそれぞれ最高3,000万円まで控除できます(2026年11月時点)。

親が住んでいた空き家を相続して売る場合には、別の特例があります。適用は2027年12月31日までの譲渡で、その家と敷地を相続した人が3人以上なら、1人あたりの控除は最高2,000万円です。要件が細かいので、税額は税理士に確認してください。

買取と仲介、どちらが合うか

買取でも仲介でも、全体を売るなら全員の同意が必要な点は変わりません。違いは価格と時間です。

売り方向いている場合気をつけたいこと
仲介全員が売却を急いでおらず、市場で買主を探す時間を取れる売れる時期が読みにくく、その間は全員の連絡体制を保つ必要がある
買取相続の精算などで時期を決めたい、遠方の共有者が多く内覧の対応が難しい、家が古く荷物も多い一般に、仲介で買主が見つかる場合の価格より低くなりやすい

当社では、買取と仲介の両方の見立てをお伝えします。全員の話がそろう前の、お一人からのご相談でもかまいません。葛飾区・江戸川区を中心に、東京23区の戸建て・マンション・土地に対応しています。

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