下町の狭い道路と「セットバック」。売るときも買うときも関係します

葛飾区や江戸川区の古くからの住宅地を歩くと、車1台がやっと通れるくらいの細い道に、家がぎっしり並んでいる場所がよくあります。下町らしい落ち着いた雰囲気がある一方で、こうした道路に面した土地には、売るときにも買うときにも関わる決まりがあります。

それが「セットバック」です。狭い道路沿いの家を持っている方、これから中古戸建てや土地を探す方に向けて、仕組みと確認したい点をお話しします。

作業服とヘルメット姿の男性が、更地の境界標をタブレットを手に確認している様子
写真はイメージです
この記事でわかること
  • セットバックが必要になる道路と、下がる距離の考え方
  • 下がった部分が「使えない土地」になる理由
  • 売るとき・買うときに確認したいこと
目次

セットバックとは、敷地の一部を道路として下げること

建築基準法では、家を建てる土地は原則として幅4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。ところが、古い住宅地には幅4mに満たない道がたくさんあります。

そこで、建築基準法ができた1950年(昭和25年)当時、すでに建物が立ち並んでいた幅4m未満の道のうち、行政が指定したものは道路として扱うことになっています。条文の番号から「2項道路」と呼ばれます。その代わり、建て替えるときには道路の中心から2mの線まで敷地を下げ、将来は道幅が4mになるようにします。これがセットバック(道路後退)です。

道幅3mの道路の例。向かい側にも家がある場合は道路の中心線から2mの線まで、自分の敷地を0.5m下げる。向かい側が川・線路・崖などの場合は、向かい側の端から4mの線まで、自分の敷地を1m下げる

向かい側が川や線路、崖などで下がれない場合は、向かい側の端から4mの線まで、こちら側だけで下がります。同じ道幅でも、下がる距離が倍になることがあるわけです。実際にどこまで下がるかは道路ごとに違うので、区役所の建築の窓口で確認します(2026年10月時点)。

下がった部分は、自分の土地でも自由に使えない

セットバックした部分は、登記の上では自分の土地のままでも、法律上は道路として扱われます。建物はもちろん、門や塀、花壇も造れません。駐車スペースとして車を置き続けることもできません。

もう一つ大きいのは、この部分が建ぺい率・容積率の計算に使う「敷地面積」に入らないことです。建ぺい率は1階の広さの上限、容積率は延べ床面積の上限を決める割合なので、敷地面積が減ると建てられる家も小さくなります。

間口10m・奥行10mの100平方メートルの土地で0.5m後退する場合の計算例。敷地面積は100平方メートルから95平方メートルに、建ぺい率60%の建築面積は60から57平方メートルに、容積率160%の延べ床面積は160から152平方メートルに減る

また、前面道路の幅が12m未満のときは、道路の幅によって容積率が指定より小さくなる決まりもあります。

下がった部分を誰でも通れる道路として使っている場合、東京23区では都税事務所に申告すると、要件を満たせば翌年度からその部分の固定資産税・都市計画税が非課税になります(2026年10月時点)。申告しないと課税されたままなので、一度確認してみてください。

家を売るときに関係すること

セットバックが必要な土地を売る場合、買主が見るのは「建て替えたら、どれくらいの家が建つか」です。今の家が道路ぎりぎりに建っていても、建て替えのときには下がる必要があるので、価格は下がった後の面積で考えられます。

すでにセットバックが済んでいるか、まだなのかも大切です。前回の建て替えで下がっている場合は、その範囲が分かる図面や、区との協議の書類が残っていると話が早く進みます。境界がはっきりしていなければ、測量が必要になることもあります。

仲介で個人の買主を探す場合、建てられる家の広さが買主の希望に合うかどうかで、売れるまでの期間が変わります。買取であれば、不動産会社がセットバック後の面積や建て替えの計画を検討したうえで価格を出します。どちらが向くかは土地の条件で変わるので、両方の見込みを比べてみてください。買取価格の考え方は、こちらの記事でも説明しています。

家や土地を買うときに確認したいこと

販売図面に「セットバック要」「私道負担あり」と小さく書かれていることがあります。広告の土地面積にセットバック部分が含まれている場合は、実際に建物を建てられる面積がそれより小さくなるので注意が必要です。

  • 前面道路が2項道路かどうか、セットバックが必要か
  • 下がる距離と面積。広告の面積に含まれているか
  • 下がった後の面積で、希望の広さの家が建つか
  • 道路が公道か私道か。私道なら通行や水道管工事の承諾が得られるか
  • 塀や門を下げて造り直す費用を見込んでいるか

こうした点は、契約前の重要事項説明で説明を受けますが、物件を絞り込む段階で確認しておくと安心です。購入のご相談はこちらのお問い合わせページからどうぞ。

葛飾区・江戸川区の道路を広げる取り組み

狭い道路は、火事や地震のときに消防車が入りにくく、避難もしにくくなります。そのため葛飾区・江戸川区とも、建て替えで下がった部分を道路として整備する事業(細街路拡幅整備)を行っています。葛飾区では下がった部分を区の費用で舗装し、門や塀を撤去・造り直す工事費の一部を補助しています。江戸川区にも、ブロック塀の撤去や水道管の移設などの費用を対象にした助成金があります(2026年10月時点)。

どちらも工事の前に区との協議や申請が必要で、着工後では対象にならないことがあります。建て替えや売却の計画ができた段階で、区の担当窓口に相談してください。

狭い道路に面した家のご相談

当社では、セットバックが必要な土地も買取の対象としてご相談をお受けしています。下がる距離や建てられる家の広さを確かめたうえで、仲介で売る場合と買取の場合の見込みをお伝えします。葛飾区・江戸川区を中心に、東京23区の戸建て・土地に対応しています。

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